2019/9/22 20周年記念講演と演奏の集い

手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会




中世城郭を探る 〜東葛、そして常総へ〜


開演後、まずは朗読劇、その後は講演会
日時:2019年9月22日(日)12時30分〜16時30分

場所:アミュゼ柏 プラザ 

会費:500円(資料代含む) 



当会創立20周年の記念行事として、まずはふるさと舞台化プロジェクトによる「箕輪城の女城主・日女若ものがたり」の朗読劇、その後は講演会を開催しました。 講師はお二人。間宮正光氏(日本考古学協会会員)と佐脇敬一郎氏(柏市史編さん委員会参与)で、お二人とも中世史、城郭研究の専門家です。


主催 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会

HP: http://www.matsugasakijo.net/

 
講演会要旨


 講演会1「考古学からみた東葛の城館 −発掘調査20 年の歩みと課題−」
  講師:間宮正光氏(日本考古学協会会員)

 ・東葛地域は、国衆及び土豪・地侍が活躍した土地。
  残念ながら残されている古文書は少なく、文献資料のみからの地域史構築には限界
  考古学の知見が重要で、ここ数年遺跡の発掘件数は増加、少ないながらも城館跡の発掘調査が行われている。
  →東葛地域の城館跡の多くは戦国時代に使用。城館跡も多種多様な機能に分化し、水上交通と密接に関わり存在。
 ・本日は、その中で発掘調査の成果に基づき二つの視点から当地の中世城館を俯瞰したい。
  一つは戦国時代以前、とくに中世前半、鎌倉・南北朝期の居館についてである。この時期の手賀沼周辺は相馬御厨が立荘
  されており、そこを実効支配した相馬氏の居館跡はどこなのか、未だ謎。
  二つ目は掘り起こされた遺構から戦国時代の築城技術を導き出し、在地性あるいは帰属勢力が想定しうるかを考える。
  両者とも難しい試みで、限られた資料、時間からは結論付けることはできないであろうが、令和という新しい時代へ向けて
  課題の提示を目指したい。
 1 城館跡とは
 2 東葛地域の発掘調査
 3 館の形態と課題
 4 中世後半の築城技術

 講演会2「柏市域・周辺地域の城跡に見る中世城郭の発達」
  講師:佐脇敬一郎氏(柏市史編さん委員会参与)

 ・城跡の観察方法
   城跡の基本構造を把握>縄張り図の作製
   塁壁規模と城内・外の視界の確認>塁壁規模を他の城跡と比較
   →柏とその周辺地域の城跡は、大きく三つ規模のグループに分類される。
     第一グループ>小規模塁壁
     第二グループ>中規模土塁・堀
     第三グループ>大規模土塁・堀 このグループに属する城跡は、柏市内に存在しない。

 ・3グループの該当年代。第一グループ>12世紀〜16世紀 第二グループ>15世紀後半〜16世紀 第三グループ>16世紀後半
    ただし、この年代区分はあくまでも目安である。相模浜居場城跡(南足柄市)や上野真壁城跡(渋川市)のように
  規模的には第二グループだが、城が使用された時期は第三グループに属するものもある。
 ・第一グループから第二・第三グープへの進化。>12世紀末から16世紀末までに、急速に土木技術が発達。
  >城跡から中世400年間の社会の変化を見ることができる。
 ・地域単位での城の比較>どの地域にどのグループの城跡がどけだけ分布しているのか?>
  使用年代・使用状況を各地域で比較・考察。
 ・古文書・古記録によく城の名が見出せるのは第二グループの一部・第三グループで、
  第一グループの城跡は多くが、使用年代、用途が不明。>城跡からこの時期=12世紀末から16世紀前半の歴史を読み解く必要性あり。
  >城から見た柏の歴史
 

 

当日講演会の様子など

 
 平成16年に柏市文化財と指定された松ヶ崎城跡。 文化財保護の各種活動や地域の皆さんのご尽力があって、この城は守られてきました。 城跡を守る過程では、様々なことがありました。 その保存を目的とした当会も、何とか創立20周年を迎えました。
 今回、当会創立20周年記念として、研究者お二人にご講演をお願いし、東葛から常総、さらに他地域にまで、中世城郭はどのようなものかを考古学の立場から、城郭発達史の研究により考察するとともに、中世前期から戦国期の歴史を含めた興味深いお話をうかがうことができました。
  また、今回は縁あって、箕輪城を舞台とした日女若の物語を題材とした朗読劇が若い方々によって行われ、花を添えてくれました。この講演と朗読劇の集いはアミュゼ柏プラザで開催されました。
  この集いに84名の方が集まりました。 東京、神奈川、大阪と遠くから見えた方もいて、質疑も活発に行われました。 司会の富澤さんも、見事に仕切ってくれました。

 
   

    
題字 会場に貼り出した題字
朗読劇1 ふるさと舞台化プロジェクトの皆さん
朗読劇2 演出、音響も本格的
講演開始前の挨拶 講演開始
講演風景1 図版を示しながら講演をする間宮正光氏
講演風景2 熱く語る佐脇敬一郎氏
熱心に聞く受講者 遠くから来られた方もいましたが、皆さん熱心に聞いておられました
 
講演 司会の富澤さん
 


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