北小金の歴史散策

手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会

 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会では、「北小金の歴史散策」を新春のイベントとして行いました。以下、その内容を報告します。

 

【今回の見学会】

 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会主催の「北小金の歴史散策」は、1月20日(日)に行われました。
 心配された天候も夕方までもち、史跡と自然に恵まれた北小金をまわるには丁度いいくらいでした。
 北小金は、根木内城、小金城と高城氏の中世城郭があった地域で、本土寺、東漸寺という古刹もあり、近世では水戸街道の小金宿として栄えました。
 今回、松戸市立博物館の学芸員であります、中山先生にもご同行していただき、いろいろ興味深いお話も聞くことができました。
JR北小金駅に集合し、南口を出て、旧水戸街道についての説明を聞き、本土寺道標、八坂神社跡にある水戸街道の道標など見た後、まず根木内城跡へ。 

<JR北小金駅に集合〜南口から出発>
さあ出発




【根木内城跡と周辺】

中世城郭の遺構がよく残った根木内城跡

 根木内城は、戦国期に高城氏が築城したと言われていますが、高城氏が当地を支配する以前からあったとも考えれる城で、城跡の中央を国道6号線が横切り、西半分が宅地化した今も  東半分の遺構はよく残り、深い堀や土橋、土塁などが残っています。また根木内の交差点をはさんで対面にある行人台にも、本格的なものではない堀跡などが検出されていて、一時的に根木内城と機能分担するような城跡があったことが確認されています。
 根木内城は北と東西が低地で、特に北側は二つの川が交わる湿地帯だったようで、その北に張り出した舌状台地の先端部分の地形を生かした城跡です。また、旧水戸街道南側の台地続きの部分にも堀跡が検出され、 元々考えられていたより広範囲な城域があったことが確認されたそうです。根木内城跡からは15世紀中頃から16世紀中頃にかけての陶磁器が出土し、小金城跡出土のと同時代のものでした。 なお、松戸市は、根木内城跡を歴史公園としましたが、湿地帯にある植物など地元の団体によってよく保護され、昔の植生が再現されつつあります。

根木内城跡の案内板前で 根木内城跡下でQ&A

根木内城跡の北側湿地帯

 根木内城跡の北側にあります湿地帯には、いろいろな植物が群生しています。例えば、今回氷が張っていましたが、土橋のある堀底を北へ下っていったところにある池には、 稀少植物であるミクリが群生していますし、水湿地特有のヨシ、ヒレタゴボウなどのほか、絶滅危惧種のタコノアシも生えています(写真左側:ミクリ群生の池、右側:2007年9月撮影の湿地帯)。

ミクリ群生地 秋の湿地帯

【根木内城跡から慶林寺へ】

高城氏ゆかりの慶林寺

   根木内城跡の北側の湿地帯を横目に川を遡る形で進み、東雷神社の横の跨線橋を渡って線路沿いに西に進むと、またJR北小金駅に戻ってきます。今度は本土寺参道を北へ、路地に入って鹿島神社を見た後、慶林寺へ。
 この慶林寺は高城胤吉夫人だった桂林尼の菩提を弔うために、子の高城胤辰が建てさせたという寺でしたが、後に徳川家康から朱印高十石を貰い、寺の名を 桂林寺から慶林寺に改めたといいます。江戸時代の子孫が建てた桂林尼の墓所や、小金に屋敷を構え野馬奉行をした綿貫氏数代の墓所があります。

慶林寺 桂林尼の墓所

【小金城跡】

高城氏ゆかりの巨大中世城郭

 次に回った、小金城跡は高城氏の居城であり、小金宿と一続きの台地の北側にあります。東西800m、南北600mほどの大きな城で、現在、「本城」と呼ばれる主郭部分は住宅地となったほか  殆どが宅地化されています。わずかに達磨口という部分と現在歴史公園になっている金杉口の部分だけ、遺構が残っています。小金城を小金大谷口城とも言いますが、大谷口の地名は鎌倉時代からあったそうです。
 今までよく、根木内城が手狭になったため、高城氏が新たに小金に城を築いて移り住んだと言われてきましたが、最近の研究では根木内城の機能していた 頃に、既に小金城は存在しており、根木内城も小金城も高城氏以前に高城氏の主筋になる原氏あたりが拠っていたのではないか、と言われています。小金城のある「金(こがね)領」は東葛の政治的中心でした。
なお、達磨口は発掘されていませんが、金杉口以前に保存され、金杉口も通常の公園と同じ扱いではありますが、幸いにも市によって保存されたため、 金杉口の珍しい障子堀や畝堀を今間近にみることができるということです。

達磨口にて 金杉口で説明を聞く

金杉口で午前の部はお疲れ様

 天候に恵まれ、史跡と自然に接し、適度に運動もしたので快適でした。ここで、午前の部は終わり、同行して頂き、分かりやすい説明をして下さった中山先生に御礼を申し上げました。 写真は、金杉口の畝堀と集合写真。

 
畝堀 集合

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