2017年度の活動アルバム

手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会





講演会「中世の板碑と城郭 〜柏・白井地域を中心に」
 
さる2017年4月17日、柏中央公民館集会室1・2において、当会は「中世の板碑と城郭 〜柏・白井地域を中心に」と題した講演会を行いました。 

主催 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会

HP: http://www.matsugasakijo.net/

当日講演会の様子など

 
 講師は白井市郷土史の会の小林茂氏。 実際に板碑のあるお宅を訪問し、その板碑を調査、また当日は現物をお借りして展示させて頂きました。 来場者も埼玉県から来た方も見えるなど、白熱した様子でした。
 
講演会資料「板碑物語 柏市・白井市とその周辺」より


板碑を調べる意味あるの?
・古文書を読めばいいのでは? (その時、その場の特別な記録)、古文書は支配者の記録。 (庶民は文字が書けない)、古文書は火災や災害で残っていない。 (残っている方が珍しい)、板碑は一般に安価にできる。 (紙は製造が大変。大きな石は高価で、運搬も高価、一部例外もあるが)

板碑とは何か?
  板碑の構成・・・1)頭部:山形と二条線、2)頭身部:天蓋、主尊種子(しゅそんしゅじ)、蓮座、脇侍種子(わきじ)、偈(げ)、紀年銘、願文、供養者名、3)基部
 願文・供養者名、真言と偈文
・願文:造立の趣旨は追善・逆修(ぎゃくしゅう)・その他の供養に分類できる

板碑の時代
・鎌倉時代中期頃(1230)⇒南北朝(全盛期)(1300)⇒室町時代・安土桃山時代⇒江戸時代になくなる。
・近隣市町村(含白井市)の記年銘のある板碑:1260年代⇒1340年代と1460年代頃にピーク。元亨、元弘、暦応〜康永、文和〜延文、文正、文明頃が高水準で、応仁頃が最も高い。元亨(げんこう、げんきょう)元弘(げんこう)文和(ぶんな)
・柏市域における年代別板碑分布:1340年頃と1460年頃がピーク
・1340年頃:蒙古来襲と北条幕府の衰退後。建武の新政と南北朝の対立の時代
・1460年頃:守護大名が強大化し、享徳の乱(1455〜1483)、応仁の乱(1467〜1477)と幕府の衰退。一揆各地に頻発。
       
下総型板碑と武蔵型板碑
  下総型板碑:多く分布しているのは500基以上ある香取地方や茨城県南部、石材は筑波周辺の黒雲母片岩や銚子産の白亜紀砂岩の銚子石。
  武蔵型板碑:石材は現在の荒川上流の長瀞や槻川(つきがわ)流域の小川町下里などから産出される緑泥片岩と呼ばれる石で、たがねなどで割ると板状に薄く割れる性質がある。この緑泥片岩は青色を帯びているために青石塔婆とも呼ばれている。
  白井は武蔵型か下総型か? ・北総地域には武蔵型と下総型板碑が分布。白井市は両形式が重なる地域。 一つの例外ほか、武蔵型板碑である。
  七次、法目、上長殿、神々廻、折立、富塚、清戸及び平塚の各地に分布。
白井市の板碑の実例:藤ヶ谷の染谷家の板碑、法目区伊藤正家の板碑、日蓮宗と関係する題目板碑(清戸地区に一基)
白井に板碑があるわけは?

 


展示された板碑 会場には小林氏が白井市のお宅から借用した板碑が展示されました。








特別講演会「車ノ前五輪塔と柏市大井地区の中世世界」
 
また2017年9月30日、パレット柏 ミーティングルームA・B・Cにおいて、当会は「車ノ前五輪塔と柏市大井地区の中世世界」と題した特別講演会を行いました。 

主催 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会

HP: http://www.matsugasakijo.net/

当日講演会の様子など

 
 講師は千葉県文化財保護指導委員の間宮正光氏。 間宮正光氏は中世考古学の専門家です。 今回、柏市大井地区の福満寺境外地にある車ノ前五輪塔および柏市大井地区の中世についての考察についての興味深いお話を語って頂きました。 
 
講演会レジュメより


「香取海」(かとりのうみ)の一角を担う手賀沼は束西に横たわり、西部で北流する大津川(おおつがわ)が注ぎ込む。 この河口部を望む標高23mほどの右岸台地上に広がるのが大井(おおい)地区である。
大津川を舟で遡ると、鎌ヶ谷を経て江戸湾(東京湾)に至ることができた。 当然、水路だけでは移動できないが、分水嶺近くの佐津間や粟野まで進み、僅かな距離を陸路とすれば、再び真聞川水系の水路を利用して、「香取海」と共に中世東国における二大経済圈を形作った「江戸湾」に出られたのである。
大井地区は旧石器時代から人類の足跡が確認され、古代には下総国相馬郡大井郷に属し、早くから開発されてきた。 周辺には車ノ前遺跡をはじめ多くの遺跡が知られており、天台宗の古刹福満寺もまた創建が古代に遡るといわれる。 さらに、台地上には平将門の愛妾車ノ前が妙見堂(みょうけんどう)を建てて将門の菩捉を弔ったといい伝えられ、通称「妙見さま」には市内最大の大型石塔、柏市指定文化財の車ノ前五輪塔が現存する。
しかし、この五輪塔は何時、誰が造立したのか謎に包まれており、存在を知る人も少ない。ところが近年の考古学調査の進展によって、徐々にではあるが歴史像を結実できるようになってきた。 そこで車ノ前遺跡の発掘成果と当地に残された石造物を中心に、周辺での研究成果を援用しながら、中世前半の大井地区、ひいては手賀沼の歴史的景観を信仰と水上交通から素描してみたい。

 


チラシ写真 講演会チラシより
車ノ前五輪塔 今回の講演のテーマである車ノ前五輪塔の画像 (高さは人の身長ほどあります。左側の女性と比べてみてください)
車ノ前五輪塔図 講演資料から、大井地区の地形図と車ノ前五輪塔と車ノ前遺跡の詳細地図







第8回 松ヶ崎城まつり
kawasemi
 手賀沼と松ヶ崎城の歴史を考える会では、第8回目の城まつりを2017年度のイベントとして行いました。 以下、その内容を報告します。

【第8回目の城まつり】


 今回の松ヶ崎城祭りは、2017年11月19日(日) 10時から15時頃まで行われました。松ヶ崎城祭りとしては、8回目になります。その前週の日曜日には旗立て、簡単な清掃を行った後、チラシを配りました。当日は好天に恵まれました

 10時半からは第1回目の見学会。2回目の見学会は、13時40分から。 
 11時20分より三味線がたりの茗荷さんが出演。また午後はおおたかの森お囃子会のお囃子と獅子舞。出店はブックススズキ(柏市松葉町)さんと絆:福島支援柏コットンプロジェクトです。

 

お囃子


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